手と指の役割と疾患の特性

手と指の疾患

手と指は、物をつまむ・握る・支える・押す・引く・細かく動かすなど、日常生活のほぼすべての動作に関わる運動器です。
骨・関節・筋肉・腱・靭帯・神経・血管が密接に連動し、非常に精密な動きと感覚によって機能が成り立っています。そのため、小さな炎症やわずかな損傷、神経の圧迫、関節の変化、腱のすべりの乱れでも、痛み・しびれ・ひっかかり・こわばり・力の入りにくさ・動作の制限として現れやすく、仕事・家事・育児・スポーツ・趣味の継続に不安を感じやすい部位でもあります。
当院では、骨折や変形の有無を確認する画像診断だけでなく、触診・徒手検査・可動域・筋出力・感覚評価・動作の癖・負荷バランスまで含めた総合的な評価を行い、患者さまごとに適した治療と回復導線を設計しながら進めます。

対応している主な症状

  • 指や手首の痛み・腫れ・熱感
  • 物を握ると痛い/ペットボトルの開閉がつらい
  • 指の曲げ伸ばしでカクッと引っかかる/途中で止まる
  • 指や手のしびれ・感覚の鈍さ・脱力
  • 朝の手指のこわばり・動かしにくさ
  • 片側だけ握力が落ちた気がする
  • ぶつけた・転んだ・突き指後から続く痛み など
  • 親指付け根の押し込みや回旋での痛み
  • しこり・できもの・良悪性の評価(精密検査が必要な場合は連携紹介) など

症状が軽微な段階でも「いつもと違う」「繰り返し起こる」「負荷が続くと不安」と感じるタイミングからご相談いただけます。

よくある疾患と症状の概要

ばね指(弾発指)

指の腱(屈筋腱)と腱鞘(腱のトンネルのような通り道)に炎症や肥厚が起こり、曲げ伸ばしの際に腱のすべりが悪くなり、引っかかりや弾くような動き、痛みが出る疾患です。
とくに朝の一回目の曲げ伸ばしで「カクッ」と強く止まる・伸ばすと弾かれるように動く、握る動作で痛む、指の付け根の腫れや圧痛などが特徴です。
当院では触診・徒手検査・超音波で炎症や肥厚を評価し、固定・注射・物理療法・負荷調整・手の使い方の指導を組み合わせ改善を目指します。

変形性手指関節症(へバーデン結節/ブシャール結節などの概要)

加齢や動作負荷の蓄積で手指の軟骨がすり減り、関節が変形して指先や第二関節にコブ状のふくらみ、押し込みや曲げ伸ばしでの痛み、腫れ、力の入りにくさ、左右差、動作不安が出る状態です。
当院ではレントゲンで変形や関節裂隙の状態を確認し、炎症評価、薬・固定・物理療法・動作指導を組み合わせ改善と悪化予防を目指します。

腱鞘炎(手首・指・親指付け根などの概要)

腱の使いすぎや摩擦で炎症が起こり、手首の痛み、親指側の引き寄せや回旋での痛み、つまむ・握る・支える動作での痛み、腱の走行に沿った腫れや熱感などが出ます。
当院ではレントゲンで骨折合併を除外し、超音波で炎症・滑走の状態を確認し、アイシング・固定・薬・物理療法・手の使い方の見直し指導を組み合わせ改善を目指します。

手根管症候群

手首の手根管(神経の通り道)が靭帯や腱の炎症などで狭くなり、親指〜薬指にかけてのしびれ、感覚低下、物を落としやすい、握力低下の自覚、夜間や早朝のしびれ増強などが出る疾患です。
診断はレントゲン・徒手検査・超音波、必要時はMRI/神経検査などを連携紹介で評価し、固定・薬・物理療法・運動療法・動作指導を組み合わせ改善と生活の安心を支えます。

TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)

転倒や手首をひねる動作で、手首小指側の深部にあるクッション・靭帯機構が損傷し、回旋・荷重・押し込み・支える動作での痛み、引っかかり、腫れ、力の入りにくさなどが出る状態です。
当院ではレントゲンで骨折合併を除外し、徒手検査、必要時のみ連携MRI/CT紹介で評価し、一時的な固定・薬・物理療法・運動療法・負荷調整の指導を組み合わせ改善を目指します。

突き指・脱臼・靭帯損傷

スポーツや転倒、衝突などで指の関節が過度に曲がる・反る・横方向へ外力が加わることで靭帯が損傷、関節がズレる状態です。関節の腫れ・変形・内出血・押すと痛い・力が入らない・曲げ伸ばしが不安定などが出ます。
当院ではレントゲンで骨折合併を除外し、触診・徒手検査・超音波で靭帯と関節安定、血腫を評価し、スプリントやテーピング固定、薬、動作指導を組み合わせ改善と悪化予防を支えます。

治療の考え方

手・指の治療は、痛みや炎症の軽減 → 関節・腱・神経の滑走と安定の改善 → 生活動作の負荷調整 → こわばりと筋力バランスの回復 → 再発・悪化予防の導線で設計することが大切です。
当院では、以下の治療を患者さまの症状・生活・運動目標に合わせて組み合わせます。

  • 薬物療法(痛み・炎症の軽減)
  • 注射治療(関節内/腱周囲/トリガーポイント など必要な患者さまへ)
  • 温熱療法
  • 固定・保護(ギプス・シーネ・スプリント・テーピング指導 など)
  • 運動療法・リハビリテーション
  • 手の使い方・動作指導
  • アイシング・休養・負荷調整の指導
  • 連携紹介(手術・精密検査が望ましい場合のみ)

「手術以外の治療」で改善を目指し、必要な場合のみ最適な連携先へ紹介します。

受診の目安(ご来院が望ましいケース)

  • 指や手首の動作で途中で止まる、弾く、強い引っかかりがある
  • 物を握れない、支えられない、歩行杖が握れないほど痛む
  • 転倒・衝撃後から強い腫れ・変形・内出血・力が入らない
  • しびれや脱力が急に悪化している
  • できもの・しこりの良悪性評価が必要 など

判断に迷っても「まず診断だけ」でも受診可能です。

患者さまへのお願い(診療の精度と安心のために)

  • いつから・どの動作で・どの方向で・どの負荷で症状が出るかのメモ
  • お薬手帳・治療歴の共有
  • スポーツ種目・作業内容・負荷頻度の情報(必要時)
  • 受診後の急な悪化は救急・受診を優先

患者さまからの情報が治療導線の安心と診療精度を高めます。